東方の夜明け

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2010年 11月 18日

【ときメモ4 SS】 Friendly Cat ~にゃごみ冨美子~

※このSSはフィクションです。
※登場する人物、地名、団体名(んなもの出ねえ)、ネコミミは架空のものです。したくないなぁ。
※ふみちゃん誕生日記念
※にゃにゃにゃーん!


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文化祭を終えた10月の中頃。
下駄箱で靴に履き替え、いざ外へ出ようとした所で彼は二人を発見した。
「お、エリサとふみちゃんじゃないか。おーい。」
その呼び掛けに、昇降口近くに居た二人の少女は彼の方へと振り向く。
片方は長身の、金髪が特徴的な少女。
もう片方は小柄ながらも、目立つところがある少女だった。
エリサ・D・成瀬と柳冨美子。
仙台弁を話す転校生に、きらめき高校を牛耳る(?)放送部員で有名な二人である。
「あ、やっほー。」
「あ。」
彼に気づいたエリサは微笑み、冨美子は手を振りながら応えた。
彼は急いで二人の元へと追いつく。
「よっ、お二方とも今から帰り?」
「うん!」「んだ。」
同時に応える二人は、正に校内一の仲良しコンビと言われるに相応しいものであった。
何しろ、一緒で漫才をした程でもある。今、このきらめき高校でこのコンビの存在を知らない者は居ないであろう。
「相変わらず仲がいいもんだなぁ。…その中に俺も一緒に加わっていいかな?」
「いいっちゃよ。断る理由なんてないべや。」
エリサが笑顔で承諾する。
しかし、冨美子の方は真剣な眼差しで彼を見つめていた。
「…ふみちゃん?」
「ふーちゃん?」
二人の声が聞こえてないのか、冨美子は彼に近づき、鼻をクンクンとさせた。
「!?どうしたの、急に。」
いきなりの冨美子の行動に彼は戸惑う。
エリサも一体どうしたのかと驚いている。
「あっ、ごめんごめん。ただ、君からちょっとイイ匂いがしてね~。」
「いい匂い…?」
そう言われて、彼は自身の制服の袖を鼻へと近づけさせるが、判らなかったのか首をかしげた。
「よく判らんが…どんな匂い?」
「うーん、なんていうか、菓子パンの様な匂いかな?すっごく甘いの。」
(ますますわからん。)
すっごく甘い、と言われてもその匂いが彼には判らない。
仕方ないので、該当しそうなモノを思い返してみる。
(カレーライス…は、今日の昼だ。朝飯は、確か普通に御飯と味噌汁といった和食…昨晩は、焼きソバを食ったっけ。んで、夕方に…)
そこでピンときた彼は、ああ、と手を鳴らした。
「そうだ、メロンパン!」
「メロンパン?」
「メロンパン!」
メロンパンという単語を聞いて首を傾げるエリサに、目を輝かせる富美子がどうにも印象的だった。

………

「そうそう、駅前にメロンパンの屋台が出来たんだよな。で、前にそこで正志と食べに行ったんだけど、中々美味くて。」
三人が向かったのは駅前の広場であった。
確かにそこに、彼が言うメロンパンの屋台―バンタイプの車を利用したあれ―があり、そこには疎らながらお客らしい人達がメロンパンを頬張っていた。
駅前の広場に近づくごとに分かるメロンパン独特の甘い匂いに、富美子とエリサはどんどん足の歩みが早くなった。どうやら、彼の言葉は聞こえていないらしい。
「行こう、エリリン!」
「うん!」
ついには走って屋台へと向かう二人を見て、彼はやれやれと溜息を吐いてその後を追う。
普段は遅い筈の足も、お菓子パワーで補正がかかるのかエリサよりも一足早く屋台へと到着する富美子。そして直ぐ様、必要な金額を取り出して店長にメロンパンを注文する。
「おじさんメロンパン一つ!」
「お、はいはい。随分と可愛らしいお嬢ちゃんだ。」
「えへへぇ、おだてても何も出ないよー?」
「あ、あたしもメロンパン一個!」
続いてエリサも到着し、同じようにメロンパンを注文した。
見慣れない容姿であろう彼女に、店長も少しだけ目を丸くする。
「おお、これまた別嬪さんの登場だ。今日は可愛いお嬢さんらを見れて満足だね。特別にオマケをあげよう。」
そう言って、出来立てらしいメロンパンをこっそり一個ずつ、二人の袋の中へ追加するのだった。
「わああ、おじさんありがと~!」
「わぁ、嬉しいっちゃ!けど、ホントにいいんかな…?」
それを見て素直に喜ぶ富美子と、少しだけ遠慮気味になるエリサが実に対称的であった。
しかし、おじさんはエリサの遠慮しがちな声を聞いて、笑顔と豪快な笑い声でそれを一蹴する。
「いいのいいの。こう見えて俺は懐が広いんだ、この腹と同じくらいになぁ!ハッハッハッハ!」
「…ぷっ。」
その笑顔に釣られてか、エリサも少しだけ吹いてしまう。
それで吹っ切れたのか、改めて彼女は店長に向ってありがとうと一言、袋を受け取った。
そして二人は店から離れて、近くのベンチへ向かう。
それを見た後、彼も続いてメロンパンを買う為に屋台へと近づいた。
「すいませーん。」
「はいはい…おっ、前に来た少年だな。今日はあのカッコイイ少年はいないのかい。」
「ははっ、今日はさっきの二人のお供ですよ。」
「何ィ。ってことぁ両手に花って事か!先日のカッコイイ少年といい君はモテモテだねえ。」
「ははは。もてるのは良いですけど流石に正志の方は勘弁ですけどね。」
最後の彼の笑いは、とても乾いたものであった。

「おっ、もう食べてるのか。はやいなぁ。」
彼がメロンパンを受け取って、富美子とエリサが座っているベンチへ向かうと、二人はもうメロンパンを取り出して食べ始めている所であった。
「ごめーん。でも、どうしても我慢できなくなっちゃって。」
「この匂い…我慢できねっちゃ~。」
それを聞いて彼もううん、とうなる。
実際のとこ、彼もこのメロンパンの独特な匂いに我慢ができなくなっている所だった。
だから、二人が早く食べたくなってしまう衝動を理解出来ないわけでもない。
とはいえ、彼自身は一度食べてるので、どうせならと今は二人の食べる姿を見守ることにした。
そうこう思ってるうちに、二人は同時に袋からメロンパンを取り出し、やはり同時に齧りつく。
しばらく固まる二人。どうしたのだろう、と彼が首を傾げると、突然冨美子が立ち上がった。
「うおっ!」
「…うまい!うまいよ、これ!!はむっ!」
そう叫んで、再び座ってメロンパンを食べ始める。
いきなりの事に呆気を取られた彼は、少しした後でふぅ、と息を吐く。
「…そんなに美味しかったって事か。オーバーリアクションだ。」
そして、今度はエリサの方を見やる。エリサ冨美子と違い黙々と、しかし夢中になりながらメロンパンを齧り続けていた。
(こっちはこっちで…。)
二人の反応を見ながら、彼は内心微笑む。そして二人をここに連れてきてよかったと心から思うのだった。
と、そんな彼の視界の隅に見覚えのある人物が入った。
顔でそれを追うと、そこには学校でも良く見かける、ヘッドフォンを装着した姿の響野里澄が歩いていた。
「お、響野さんだ。おーい。」
思わず声をかける彼だったが、すぐにしまったと思った。
彼女の姿は良く学校で見かけたり、有名人だったりするので印象が強いのだが、今まで特に話しかけたことはないのだ。
ほぼ初対面といえる里澄に声をかけて、もし彼女が反応したらどう対応しようかと彼は困ったのである。
(…出来れば気づかないでくれ。)
ヘッドフォンをしてるしな。と、そう願う彼だったが現実は非常なもので、何故か里澄は歩んでいた足を止め、周囲を見回し声を主である彼を見つけたのだ。
(なんで分かるんだ!)
彼は心の中でそうツッコむがそれが誰かに聞こえる訳でもなく、里澄はこちらへと近づいてくる。
「…こんにちは。」
彼のもとへやってきた里澄は、静かに挨拶をする。
そういえば、と初めて聞いた里澄の声に彼は少しばかり聞き惚れそうになった。
「あ。ああ、こんにちは。」
が、すぐに気を取りなおして挨拶を返す。しかし、そこからが続かない。
(困ったな…。)
彼は悩むが、すぐに解決案が出てくる訳でもない。
時間が重く過ぎていくような、独特な感覚が彼の中を襲った。
「あ、響野さん!」
そんな状況を救ったのがメロンパンをもう食べ終わった冨美子だった。
一個食べて満足したのか、上機嫌に立ち上がる。
「奇遇だね!もしかして、響野さんもここのメロンパンを食べにきたの?」
「メロンパン…?えっと、私はただ帰ってたんだけど…。」
笑顔で話しかけてくる冨美子に戸惑っているのか、少しだけ声が小さくなる里澄。
しかしそれを気にせず、冨美子は「えーっ!」と声をあげた。
「勿体無いよ!ここのメロンパン美味しかったんだよ!さっき食べたんだけどね、すっごく美味しいの!響野さんも食べてみると良いって~!」
一気にまくしたてる冨美子に、里澄は困惑した顔で彼の方を見る。
そんな里澄を見返した彼は、静かに首を横に降った。こうなった冨美子は誰にも止められないと知っていたからである。
「…えと、でも。私、今お金ないし…。」
「大丈夫!さっきおじさんから一個貰ったのがあるから、それをあげるよ~。」
「でも、それだったら…あなたのメロンパンが…。」
「良いの!私はエリリンから貰えば良いもん。ねー、エリリン。」
「ん。もひほんだっふぁ。」
「ね?」
と、ウィンクをする冨美子であったが、それでも里澄は頷かない。余り慣れない状況なのか、まっすぐに里澄を見る冨美子の視線に耐えられず、目が泳ぐ。
「けど…。」
「うーん。よし、じゃあこれでどうだ~!」
と、冨美子は突然鞄の中を漁り、とある物を取り出した。
それは…。
「ネコミミ?」
彼がそれの名前を言う。
冨美子が取り出したのは、先日ちょっとした事で手に入れたネコミミカチューシャだった。
「ふっふーん。」
それを得意げに装着する冨美子。
今ここに、ネコミミ冨美子が再降臨する形となった。
「にゃにゃーん。りずみにゃーん、メロンパン食べてほしいにゃーん?」
「!」
(なんか一気にフレンドリーになっておる!)
そんな彼の心のツッコミを他所に、ネコミミ冨美子はにゃんにゃか(?)と里澄にじゃれついていく。
心なしか、ネコミミ冨美子になった後の里澄の様子も、どこか柔らかくなったかのように彼は感じた。
「えと…うん…。じゃあ、いただく。」
「ほんとかにゃん?じゃあ一緒に食べるにゃん♪」
承諾を得た歓喜のあまりか、形容しがたいネコダンスを踊りつつ袋からメロンパンを取り出し、里澄へと差し出す冨美子。
里澄はそれを受け取り、ありがとうと告げてからメロンパンを齧る。
もぐり、もぐりと彼女の小さな口がメロンパンを咀嚼している。
少ししてそれを飲み込み、彼女は小さく
「おいしい。」
と、笑顔になったのだった。

ベンチ側では冨美子を挟んで里澄と、エリサが仲良く話している。
彼はふぅ、と溜息を吐いてそれを少し離れた場所で見ていた。
(さすがふみちゃんと言うべきか。何気に彼女の凄いところだよなぁ。)
少し近寄り難い雰囲気のあった里澄をすぐに陥落(といっては言い方が悪いかもしれないが)する程の、彼女の人間性に彼は毎回驚かされている。
思い返せば、彼の冨美子との出会いもそれなりに彼女の性格に少し振り回された感じのものだったのを思い出し、彼は苦笑した。
「ま、それはさておき。」
彼は思い出したかのように、自分が買った袋からメロンパン―否、他のメロンパンとは違う、黒い点々が付いたメロンパンを取り出した。
「これこれ。前は普通のメロンパンを食べたけど、このチョコチップメロンパンも興味があったんだよな。どれどれ…。」
いざ口をつけようとすると、その途端に感じた一つの視線。彼が腕をおろすと、いつの間にか冨美子が彼の近くへとやってきて、まるで何かをねだるかの様に人差し指を唇に付けている。
「…ふみちゃん?」
彼が声をかける。しかし、その後の反応は彼女の返事を待た無くても予想は出来ていた。
「それ、美味しそう…。」
「やっぱり!」
「わたしにもちょーだい!にゃー!」
まだネコミミを付けたままの状態だった彼女は、そんな鳴き声を出しながら彼に飛び掛ってくる。
分かってた事だとはいえ、いきなり飛びつかれた事と、その勢いが思いの外強かった事で、そのまま二人分の体を支えきれずに後ろへと倒れていく。
(まぁ、こんな事だろうと思ったけど…。)
彼は背中にくるである衝撃に覚悟し、お腹に感じるを柔らかさを味わいつつ
(メロンパン二つで、チャラにしておいてあげるか…。)
手から離れたメロンパンが宙を飛び、地面に落ちていく様子を静かに見守っているのだった。



あとがき
またも突貫作業。
ごめんよハルちゃんとふみちゃん。全ては出張が悪い(ドヤッ
ということで翠珀でした。まだまだ出張続きなのに頑張って書いてました。
元々このSSは大分前(多分5月くらい)に書き出していてずっと放置していたやつです。いい機会だと思って一気に書ききりました。
ふみちゃんと言えば親友のエリサ、お菓子、そしてなごみ冨美子。
彼女の雰囲気はどんな人間でも一瞬に丸くするんじゃないでしょうか。それこそ眼力パワー最高のカイとか、高貴オーラやべえよな優さんとか、はたまた傷心度上昇オーラむんむんな都子とか。
まぁそんな風に思いつつ、今回は里澄ちゃんと仲良くしてもらいましたとさ。あとネコミミ冨美子は完全に俺の趣味です、本当にありがとうございました。本編ではあんなにはっちゃけて無かったけど、あのイベント後に味をしめた、という脳内設定でやすw
てか親友のエリサの出番すくねェー!とか突っ込まないでくださいねホント…凹みますんで。
さてさて来月は俺の大本命エリサの誕生日。なんかもう仕事中に何を書こうか構想が湧いたので書こうと思います。ちょっと一服脱がせたい…なーんてね。
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by Horyday | 2010-11-18 22:56 | 小説


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