東方の夜明け

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2010年 09月 25日

【ときメモ4 SS】Change my Heart ~ 変わる時は突然に ~

※このSSはフィクションです。
※登場する人物、地名、団体名(んなもの出ねえ)、シチュエーションは架空のものです。(俺だけの中で良い)
※一稀のキャラ違う!とか言わないで;;

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季節も秋の中頃に入ってきた頃。
彼と、一稀の二人はいつもの様に放課後の家路を歩いていた。
夏の頃はまだ明るかった時間帯も、今ではそれなりに暗い。少しそれが寂しくも感じさせるが、二人からすれば大した事でもなかった。
「は~美味しかった美味しかった。最後に食べたシュークリーム最高!」
一稀は非常に満足気な笑顔を彼に向ける。
二人は、先程ショッピング街にある洋菓子屋へと立ち寄っていた。
そこで、新商品らしいプリン入りシュークリームというのを一稀が興味を示し、一緒に食べてきたのだ。
「あのカスタードプリンと、シュークリームの生地が美味しかったよなー!部活疲れが一気に吹き飛んじゃったよ!」
「とはいえ流石に4個は食い過ぎだと思うけどな~。」
彼のツッコミに一稀はうっ、と唸る。しかし、すぐに口をとんがらせ彼を睨んだ。
「なんだよー、元はと言えばキミが”テストでどれか100点取ったら何か奢ってやるよ”って言ったのが始まりじゃん。」
「それはそうだけど、せめて俺の財布の心配はしてくれ…。」
そう言って、彼は胸ポケットに入ってあるサイフを抑えた。
彼からしたら、単なる口約束―更に言うと、一稀が満点を取れないとタカをくくっていた―だったのが本当に実現してしまった為、予想外の出費だったのである。
一学生にとっての予想外の出費、特に彼は幼なじみである大倉 都子にお小遣いを管理されているので自由に使いづらいので結構な痛手となった…とは思っていたが。
「へへ、良いじゃん良いじゃん。キミにだって食べさせたんだから!美味しかったでしょ?」
そう思っていた矢先の、一稀にとってはさり気無い一言。それに彼は少しだけ表情が凍る。
そう、確かに彼もシュークリームを一緒に食べた。というよりも、流石に全部食べるのは気が引けた一稀が最後の1個を半分に分けて彼に渡したのだが…問題はそこではない。
それは、一稀が3個目のカスタードシューを食べていた時である。
噛み付いた時の勢いで、中のクリームが盛大に彼女の指へと付いたのだ。そして、一稀はそれを盛大に舐めとっている。
そう、4個目のシュークリームを取り出した時、右手は彼女の…
(うわわわわわ)
そこまで思い出して、彼は首を横に降った。
あの時は、一稀にとっても意識してなかった行動だったのだろうし、彼も食べてから気づいたのでどうしようもなかったのだが…。
(関節キスになるのかな…あれは。)
そう考えながら、彼は頬を軽く掻いた。これは、彼なりの照れ隠しである。
「おーい。」
「うぉ。」
と、彼はここでようやく一稀に呼ばれている事に気づく。
意図してなかった事とはいえ、少し彼に無視されたのが不愉快だったのか、彼女の顔はまた少しだけ不満そうな顔になっていた。
「どうしたんだよー、折角人が話してるのにボーッとしちゃってさ。」
「あ、あ~。いや、ごめん。少し考え事してた。」
「ふーん…別に良いけど、ちょっと心配しちゃったよ。」
「え、そうだったのか。」
「…ははっ!なーんてね、ウソだよ!キミの心配なんてするわけないっての!」
あははっ、と盛大に笑う一稀に彼は先程まで思い返していた事がバカらしく思えてしまい、釣られて笑う。
そして思いっきり一稀の頭を撫でてやった。
手をわしゃわしゃと動かし、盛大に髪を乱していく。
「うわわ!やめなよ~。」
「うっさい、生意気な一稀はこうだ!」
彼の手は止まらない。しかし、一稀は声とは裏腹に特に嫌がった素振りは見せていなかった。
それでも、彼は止めようとしない。薄暗くなったとはいえ、少し赤くなったであろう自分の顔を見られたくは無かったのだから。



「あ、ワンコが居る。」
暫くして、小さな十字路が見えた所で彼は一匹の子犬を発見した。
どうやら飼い犬らしい、薄暗い中で赤い色の首輪が見える。そんな白い毛並みをもったそれは、十字路の近くでウロウロと歩いていた。
「ホントだ!可愛いよな~犬!あいつ、デカくなったらきっと毛が気持ち良いんだろうなぁ。」
「確かに、ちょっと撫でてみたいな。」
どうせ道すがら、と二人は犬を撫でようと歩く。
子犬はこっちに気づいたようで、頭を上げて二人の方へと向いた。
「あ、こっち見てる。」
一稀が嬉しそうな声を出す。その声色は、今にも目の前を子犬を触りたくて仕方ないという感じであった。
一方、子犬の方は二人に気づくと、てててと十字路の方へと歩いていく。
どうやら、二人の事を警戒しているらしい様子であった。
「あ、逃げる!」
一稀の顔が、今度は残念そうな表情へと変わっていく。
どうやら逃げられた事に少しだけショックを受けたようだった。
「驚いたのかな。」
「えー、ボク達なんもしてないじゃん。なんで逃げるのさー。」
「俺が犬の気持ちなんて解るわけ無いだろ…。」
子犬は少し歩いた後、十字路の真ん中で立ち止まった。やはりこっちを警戒しているのか、頭はこちらを向いている。
「チーチチチチチチチ…。」
彼は舌を鳴らし、手のひらを出してみる…が、それでも子犬は微動だにしなかった。
「中々強情なやつだな…。」
「くっそー、ボクちょっとムキになってきたぞ。」
そう言って一稀が手をワキワキを動かし始めた時、十字路が薄く照らされる。
それは、上にある街灯ではなく二人から見て横からだった。
そして微かに聞こえてきたエンジン音。十字路に佇む子犬。
思わず、彼は思わず駆け出した。手に持った荷物は後ろに放り投げる。
「―!」
後ろで、一稀が何かを言っている気がしたが、それは耳へと届かなかった。
駆ける、とにかく駆ける。
子犬へとどんどん近づいていく。子犬は、先程とはうって変わって十字路の真ん中辺りで佇んでいた。
(こいつ、こういう時だけ動かない!)
心の中で彼は毒付くが、それが子犬に届くはずも例え聞こえたとしても通じる訳もない。
横からの光がどんどん強くなってくる。
―間に合うか?
―やばい。
―大丈夫?
―届く?
―犬がっ!
―止まる!?
―止まれない!
―行ける!
様々な心の声が、彼の身体を駆け巡る。
しかし、彼にそれを気にする余裕はない。身体をかがませた彼は、腕を子犬の居る位置に合わせる。手はいつでも握れる状態だった。
―行くっ!
十字路へ飛び出す。手には毛の感触と、首輪を指に引っ掛けた感触。
視界に入る眩しい光。近い。
足を一気に地面から離す。身体が宙に浮く感覚が、彼の体を包む。
そして、手につかんだそれを胸に抱き寄せ―
すぐに彼の身体に衝撃が走った。地面を4,5回ほど転がったのだ。
止まった身体に、鈍い痛みが走る。
「いつつ…身体は…大丈夫そうか。」
しかし運が良かったらしい、多少の擦り傷は出来ているだろうが、それ以上の怪我は、彼には無さそうであった。
(…そういや、車はどうなったんだ?)
彼は顔を上げて周りを見る。しかし、そこに車の影はない。
代わりに、一稀が彼の側へと駆け寄っていた。
周りが薄暗いのも手伝って少し判りづらいが、どうやら一稀がかなり心配してる様子なのを、彼は感じ取った。
「大丈夫!?」
思った通り、一稀はそう言って彼を抱き起こす。
その際、少し身体に痛みが走ったが彼は我慢した。起こした上半身を近くにあった塀へと背中を預ける。
「おう、一応な。」
「一応じゃないよ!…なにやってんだよ、危ないじゃんか!」
一稀の声は荒い。だがその表情は、街灯の影になって見えなかった。
だが、微かにではあったが彼女から鼻を啜る音が聞こえる。
「…一稀、泣いてるのか?」
彼が顔を上げる。その表情はやはり影になって見えない。
けれど、その動きで動揺したかのように一稀は身体を震わせた。
「そん…なことない!バカ!」
そして顔を背ける。まるで、見てほしくないかのように。
そんな彼女を見て、彼はただ一言、すまんと言うだけだった。
彼が手につかんだ筈の子犬は、いつの間にか居なくなっていた。

暫くして、改めて二人は家路を歩く。
今は、一稀が前で彼がその後ろに付いている状態である。
…結局、先程の事故はあれから何も進展が無く終わった。
通過していったらしい車も余所見をしていて気付いてなかったのか、あれから戻って来る気配は無かった。
子犬もいつの間にか居なくなっており、先程の出来事は夢だったのではないかと彼はそんな風に思っていた。
ただ、今眼の前に居る一稀もその現場を見ていたので、やはり夢ではなかったのだが。
その一稀は、あれから拗ねているのか彼に対して全く顔を見せようとしない。
彼が声をかけても、
「…なんだよ。」
とそっけない声が返ってくるだけである。
(まいったな。)
彼は今の状況に頭を掻く。
普段は明るく、笑顔が目立つ彼女。確かに泣くこともあったが、大体は試合に負けた時くらいだと、彼は覚えている。
しかし、今の状況はこれまでに無かったパターンであった。そして彼には、その解決策が見当たらなかったのだ。
なので、彼はどうしようか、と先程から悩み続けていたのである。
と、そんな状況を破ったのは、彼の悩みの元であった一稀本人であった。
「…ねー。」
「ん、あ…ああ。どうした?」
「今度さ、一緒に出かけない?」
これはまた、突然の誘いであった。
しかし、沈黙が辛かった彼にとっては渡りに船である。いつもの一稀に戻って欲しいと思った彼はとにかく話を合わせることにした。
「お出かけ…良いぜ。けど、どうしたんだ急に。」
「どうしてって…そりゃ、あれだよー。今日心配させた罰ってヤツ。」
そして、一稀はやっと顔をこっちへと向けた。
「!」
彼はドキリとした。別に、悪い事があった訳や驚いた訳ではない。
いや、驚いたと言えば驚いたのかもしれない。
振り向いた一稀の顔は、確かにいつもの通りだった。けれど、何処かが変わっている…彼は、そんな風に感じたのだ。
だから、少しの間だが彼は一稀の事を見つめてしまっていた。
「…ね、ねえ。見つめられるとちょっと…その、恥ずかしいんだけどな~あはは…。」
「あ…わ、悪ぃ。えと、お出かけだっけな。どこにする?」
「うんとね、今度の日曜に適当にショッピング街でもどうかなって。」
「日曜か、オッケー良いぜ。」
「ホント?へへっ、やりぃ。」
そんなに嬉しかったのか、一稀はガッツポーズを取る。
その動きも良く見る光景であったのだが、やはり何処か違う何かを彼は感じていた。
しかし、その何かを具体的に表すことが出来なかった。
「んじゃ、また明日な~!」
一稀のその言葉に、彼はハッとなる。
気づけば、いつも二人が別れる交差点に辿りついており、一稀は自分の家へ続く道へ向かいながら、彼へと手を振っていた。
「お、おう。じゃあな。」
彼も慌てて手を振る。一稀はその姿が見えなくなるまで、彼の方へと手を振り続けていた。
その様子に彼は内心微笑む。
「まったく、可愛いヤツだな。」
そして自宅へ続く道を歩き始めて、そう呟いた彼は立ち止まった。
そこで気づいた。おぼろげながらも、違和感の正体に。
「そっか、一稀のやつ…なんか可愛く見えたんだな。」
いや、違うな。と彼は首を振った。
可愛いのは前からだった。けれど今思っているのは少し違う”可愛い”だった。
「…。」
彼は微笑みを作り、頬を少し掻く。
ふぅ、と息を吐いた後、改めて家路を行くのであった。



あとがき
一応続き物・・・という展開。
というか、続き物というよりかは”彼主体”と”一稀主体”として話を書いてみたいな、という気持ちがあったのです。
なんかおぼろげだったり、不足してる描写とかは、次ので補完する、みたいな感じ。

で、テーマは「変化」。一稀が”彼”を友達じゃなく男の子として認識したその時は、きっと彼女は女の子としての魅力…というかオーラが強くなるんじゃないかな、というイメージです。
身体は気持ちを良く表すと思う。一稀はそこら辺、メモガールズで一番正直だと思います。てか本編でも私服のアレとかあるしね。

まぁこんな偉そうなことを書いていても、結局やりたいのは「俺のやりたい事」なんで、まずは文章に萌えさせるとこから。というか彼女の言葉使い間違ってないよなぁ、俺…。

ということで次回も頑張って書きましょう。
次も自分がやりたいことをフンダンに入れつつ、書きたいことを、書く!
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by Horyday | 2010-09-25 23:58 | 雑記


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